スイタビト

【スイタビトvol.001】カリグラファーとして活動しながら、印刷コンサルタントの顔を持つ、大田めぐりさん。

kazuki

吹田市で父親が立ち上げた印刷会社(株)ザッカコーポレーションの共同代表として、ラグジュアリーブランドでのライブ筆耕から、オーダーメイドのグッズ制作まで、アナログな手書きの美しさを武器に、企業やショップの想いを形にする活動をしている、大田 めぐりさん。

カリグラフィーとは?

カリグラフィー(Calligraphy)とは、古代ヨーロッパ発祥の文字を美しく表現する「西洋書道」のこと。

日本では、これまではラグジュアリーブランドやウェディング業界で主に活用されていましたが、最近はSNSを中心にじわじわと人気が広がっています。海外ではプロやアーティストも多く、大田さんのお話では、ノーベル賞の賞状の文字を書いている人もカリグラファーとのこと。

「迷ったら、大変な方を選ぶ」

笑顔でそう語る大田さんの芯の強さと、生まれ育った吹田への想い。それらすべてをのせて、1本のペン先から広げていく表現の世界についてお話を伺いました。

1. にぎやかな音楽の世界から、静寂な文字の世界へ

——まずは、カリグラファーになったきっかけを教えてください。

大田さん:

音楽業界に長くいたのですが、妊娠で、重い機材の運搬や、長時間のレコーディングができなくなってしまって。

——表現の場が制限されてしまったのですね。

「この状況でもできる創作活動はないか?」と考えていた時に、Instagramでカリグラフィーの動画を見て、「これなら今の私でもできるかもしれない」と思い、すぐに教室に通い始めました。

——思い立ったらすぐ行動されたんですね!

大田さん:

はい。そこからカリグラフィーを始めて約9年になりますが、最近やっとお仕事をいただけるようになってきて、ようやくスタートラインに立った気持ちです。

イタリック体という書体で書かれたメッセージカード

ただ幸運なことに、カリグラフィーは、70代でも業界のトップとして活躍する方もいらっしゃるぐらい現役期間が長いことも魅力の1つです。もちろん私も、ずっとこの仕事を続けていきたいので、常に5年・10年先の未来を自分なりに思い描いて、そこでも求められるような技術や知識、表現を磨くように心掛けています。

——どんな状況でも、常に新しいことにチャレンジし、未来の可能性を広げていく柔軟性。素晴らしいですね!

2. カリグラフィーの奥深さ

——現在、カリグラファーとしてはどのようなお仕事をされているのでしょうか?

大田さん:

主にラグジュアリーブランドでのライブ筆耕を中心に活動しています。店舗のイベントなどで、お客様の目の前でカードや香水瓶などに文字を書くお仕事です。個人のお客様から、ギフトカードや結婚式のペーパーアイテム、表札のお名前書きなどのご依頼もいただいています。後はレッスンやワークショップもおこなってます。

代表取締役を務める印刷会社では、お客様の想いをカタチにする「印刷コンサルタント」として、カリグラフィーを使ったオリジナル商品やノベルティの製作を行っています。

なんと、インタビュアーの私の名前が入ったポーチと、
吹田日和エコバックをプレゼントしてもらいました!ありがとうございます!!

——お客様の目の前で書くのは、緊張しそうですが、やりがいも大きそうですね。

大田さん:

お客様が購入されたブランドの商品に文字を書いたり彫ったりすることもあるので、絶対に失敗できないプレッシャーはありますね。緊張しながら丁寧に書き終えた後に「何度も見たくなる!」と言っていただけた時は、とても嬉しかったです。

インタビュアーの質問に答えながらも手元を狂わすことなく文字を書く大田さん。

——お話しながらでも書けるんですね。

大田さん:

そうですね。普段もお客様とお話しながら書いてます!

吹田日和の文字を書いていただきました!すごい!

——ペンもたくさんお持ちなんですね。

大田さん:

はい。書体によって傾ける角度など、厳密なルールがあるんです。なので現場では、どの書体でも書けるように複数のペンを持ち歩くことが必要です。

複数のペンを書体ごとに使い分ける。

3. 父の印刷業との出会い

​​——大田さんは現在、お父様が吹田で経営されている印刷会社「株式会社ザッカコーポレーション」の共同代表も務められているんですね。

大田さん:

そうなんです。きっかけは、私がとても尊敬している女性の方の「これからは掛け算の時代だよ」という一言でした。そこでふと、カリグラフィーと、父がやっている印刷を掛け合わせたら、新しいモノづくりができるのではないかと思ったんです。

——手書きと印刷という正反対の掛け合わせですね。実際にはどのようなモノづくりを?

大田さん:

ポリ素材のエコバッグや、Tシャツ、木材など、さまざまな素材にカリグラフィーの文字を組み合わせたオリジナル商品やノベルティの製作です。まず始めに、ご希望の商品にどの方法で印刷すれば1番美しく仕上がるのかを決める作業が本当に難しいです。思った通りに印刷できるまでサンプル製作をし続けます。深夜まで何度も試作を繰り返したこともありましたね。

——並々ならぬご苦労があったのですね。

大田さん:

その分、うまくいった時の達成感は大きいです。「印刷コンサルタント」として、小ロットでもお客様の想いやイメージを細部にいたるまで一緒にカタチにしていく伴走型のモノづくりをすることを大切にしています。

4. 「迷ったら大変な方を選ぶ」。妥協なきモノづくりへの想い

大田さんがオーダーで制作した名前入りのポーチ

——カリグラファーと印刷コンサルタント、そして二人の娘さんの子育て。お忙しい毎日ですが、お仕事で一番大切にされているポリシーは何ですか?

大田さん:

ご依頼には120%でお応えして、「ありがとうを集める」ことです。

どのご依頼も「期待を超えるための壁は高いな」と感じながらスタートします。でもお客様と会話する中で、大切にされていることが見えてきて、喜んでいただけるご提案に繋がる一本の線がすっと通るような感覚になるんです。そこに一番のやりがいを感じます。

——素晴らしい姿勢です。ご自身の性格を一言で表すと?

大田さん:

「面倒くさがりのこだわり屋」ですかね。(笑)だから、特に仕事では「迷ったら大変な方を選ぶ」ように心がけています。

その方が絶対に良いものが作れるし、成長もできると思うので。私のこだわりについて来てくれている仲間や、いつも前向きに応援してくれる周囲の方々の存在が、いつも背中を押してくれています。

5. みんなが好きな町、吹田。この街の温度が安心させてくれる

——大田さんにとって、ここ「吹田」はどんな場所ですか?

大田さん:

「みんなが好きな町」ですね。生まれも育ちも吹田で、父の会社もあったことから、ここで活動を始めるのは自然な流れでした。

転勤などで新しく来られた若い世代の方も増えていますが、古くからいる人も新しい人も、みんな吹田が大好き。穏やかで温かい方が多くて、その安心感の中で活動できるのは、とても有難いです。

——吹田でよく行くお気に入りの場所はありますか?

大田さん:

よく行くカフェは、江坂の『HIRO珈琲』さん。それから、年に数回のご褒美タイムとして、関大前にある『バルベラ』さんへ仕事仲間や友人達とディナーに行くのが好きです。あと定番ですが、やっぱり『太陽の塔』は好きですね。見ると元気が出ます!

https://www.instagram.com/p/DWvs5UAkwRe

バルべラさんは吹田日和スタッフにも大人気!投稿もさせていただいてます!

6. 応援される側から、応援する側へ。未来への展望

——今後、吹田で挑戦してみたいことや、カリグラファーとしての夢を教えてください。

大田さん:

吹田では、市主催のイベントで印刷のコンサルティングや賞状のデザインを担当してみたいです。それと、大きな窓があるカフェやショップさんで「Happy Holidays」や「Trick or Treat」など季節のキャッチフレーズをペインティングしてみたいですね。

カリグラフィーは、中心となる文字がアルファベットだからこそ、海外にも活躍の場を広げていけるところも面白い部分だと感じています。私も日本だけではなく、世界のあらゆる場所で自分の文字を届けていきたいです。ファッションが好きなので、いつかパリ・コレクションの招待状を書きたいという夢もあります。その夢を少しでも現実に近づけるために、昨年9月にアメリカで、10日間のワークショップに参加してきました。

——5年後、10年後はどうなっていたいですか?

大田さん:

5年後には、カリグラフィーのレッスンができるアトリエと、印刷設備が整った会社が隣合わせになった事務所を構えたいです。

今はまだ周囲に応援してもらう側の立場ですが、10年後には、私が地元の方々を応援できるような力をつけることが目標です

——最後に、吹田日和の読者へメッセージをお願いします!

大田さん:

「こんなモノ作ってみたいんだけど……」などありましたら、InstagramのDMから気軽にお声がけください!私たちが出来ることをお伝えしながら、理想のプロダクトを一緒に形にしていけたら嬉しいです。

大好きな吹田で活動できていることに感謝し、これからも一歩ずつ進んでいければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!

編集後記

大田さんが語ったカリグラフィーへの想いと、人生に対する向き合い方は、とても印象的でした。

音楽業界での経験、お父様が築いた印刷会社、そしてカリグラフィーが紡いできた歴史。それらすべてを「掛け算」し、彼女は誰にも真似できない新しい価値を吹田に生み出してくださっています。

「迷ったら大変な方を選ぶ」。涼やかな笑顔の奥にある、モノづくりへの妥協なき情熱と、吹田という街への温かな愛情を感じる取材となりました。

大切な想いをカタチにしたい時、ぜひ大田さんのいる株式会社ザッカコーポレーションの扉を叩いてみてください。きっと、想像以上の感動を添えてカタチにしてくれるはずです。

(取材・文/吹田日和 編集部 金子和樹 写真:渡辺太一

インフォメーション・プロフィール

大田 めぐり

吹田市出身・在住。大阪音楽大学短期大学部ヴォーカル科卒業後、音楽業界を経てカリグラファーへ転身。現在はカリグラファーとして活躍する傍ら、「株式会社ザッカコーポレーション」の代表取締役として印刷コンサルタントを兼任。「手書き」と「印刷」を掛け合わせた独自のモノづくりを展開している。

SNS

・カリグラフィーアカウント:@meguri_calligraphy

・印刷・オリジナルグッズアカウント「ザッカコーポレーション」:@zakka_print

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