スイタビト

【スイタビト vol.002】「私たちは社会の戦力外じゃない」。吹田から希望のバトンを繋ぐ、カヌレ店に込めたママたちの挑戦

kazuki

吹田市で児童発達支援・放課後等デイサービス「たんぽぽのわたげ」を運営する、岩井絵里子(いわい えりこ)さん。

今回、ハンデを持った子どもを育てるママたちが抱える「社会参加の壁」を打ち破るべく、新たな挑戦としてカヌレ専門店「カヌレ BATON」のオープンに向けて走り出しています。

「30分単位のシフト制」という限られた時間でしか働くことができないママでも働けるという画期的な仕組みで、無資格からでも「職人」になれる場所を作りたい。ご自身も自閉症のお子さんを育てる母親として感じてきた葛藤と、大好きな吹田の街から生み出したい希望について、熱い想いを伺いました。

1. 「まず、ママを救う」。ハンデを持つ子どものママが直面する社会の壁

――本日はよろしくお願いします!以前「たんぽぽのわたげ」さんの取材でもお世話になりましたが、今回はなんと「カヌレ屋さん」をオープンされると聞いて驚きました!

岩井さん:

よろしくお願いします!そうなんです。これまでデイサービスを通じて子どもたちの『今』と『将来』に向き合ってきましたが、子どもたちを本当に救うためには、「まずママを救わなければ!」と強く感じるようになったんです。

>>> 前回の記事はコチラ(吹田日和)

――「ママを救う」とは、具体的にどのような課題があったのでしょうか?

岩井さん:

ハンデのあるお子さんを育てているママたちは、子どもの突発的なパニックや体調不良での急な呼び出しが多く、職場で何度も肩身の狭い思いをして謝り続け、最終的には退職せざるを得ないケースが少なくありません。もしくは出産を機に退職された後、条件が合わずなかなか仕事に復帰できないなどですね。

働きたい、役に立ちたいという気持ちがあっても、時間が限られているために社会から「戦力外通告」を受けているような空気があるんです。私自身も自閉症の子どもがいるので、看護師として働いていた頃に同じように悩んでいました。

――お母さんたちにとって、本当に切実な問題ですね。

岩井さん:

だからこそ、ママたちが下を向かずにすむ場所、「30分単位の超短時間シフト」でも働けて、未経験からでも「職人」として胸を張れる場所を作ろうと決意しました。

2. 運命のカヌレとの出会い。30分からの「プロ」を目指して

――そこでなぜ「カヌレ」だったのですか?

岩井さん:

以前、ご縁があって一口食べたカヌレに衝撃を受けたんです。米粉とおからを使っていて、小麦粉もラム酒も不使用のグルテンフリーなのに、外はカリッと、中はモチッとした独自の重厚な食感があって。「これならイケる!」と思いました。

――身体に優しくて美味しいなんて最高ですね!でも、お菓子作りは未経験からのスタートですよね?

岩井さん:

はい、想像以上に繊細な世界で壁にぶつかりました。その日の温度や湿度で焼き上がりが変わるため、五感で「あと10分長く焼くか」を微調整で判断しないといけません。

スタッフみんなでデイサービスの仕事をしながらカヌレ作りの修行を重ねたのですが、激務が重なり、ゴールデンウィークには私が突発性難聴で倒れて入院してしまったんです。

――ええっ、それは大変でしたね……!

岩井さん:

でもその時、スタッフたちが「社長、安心して休んでください。私たちが代わりますから!」と言ってくれて。最初は私がやりたいと言い出したことですが、共に戦ってくれる仲間たちがいて、すでに「挑戦のバトン(BATON)」が渡っているんだと実感し、これが店名の由来にもなりました。

3. 吹田から上がる「希望の狼煙」。カヌレ BATONに込めた想い

お店完成予定地。この駐車場の奥がカヌレ屋さんに!

――素敵なエピソードですね。「カヌレ BATON」のお店はどのあたりにできる予定ですか?

岩井さん:

江坂と服部緑地の間にある、私たちの施設「たんぽぽのわたげ+(プラス)」の1階で、駐車場スペースの半分をお店にして販売する予定です。

それだけでなく、業種を問わず知り合いのお店に置かせてもらって代理販売をしていただいたり、マルシェなどのイベントにも出店して売り上げを作っていきたいと考えています。

――地域との繋がりがどんどん広がりそうですね!岩井さんは吹田への想いも強いとお聞きしました。

岩井さん:

はい、吹田生まれの吹田育ちなので、この街が大好きですし、ずっとここにいたいと思っています。

この吹田から、「私たちは戦力外じゃない」というメッセージを発信し、店舗を形にして諦めの空気を「希望の空気」に変えていきたいです。

4. クラウドファンディング挑戦中!みんなで創る希望の居場所

クラウドファンディングページ – 3月27日時点でもう100万円も集まってます!すごい!

――現在、お店のオープンに向けてクラウドファンディングにも挑戦中ですね。

岩井さん:

そうなんです!内装や機材の準備は進んでいるのですが、お店を地域の象徴にするための「看板や外装、案内誘導の表示」を設置するための資金がどうしても不足しています。

奥まった立地であってもお店の場所がわかり、ママたちが「ここが私の職場なの!」と胸を張れる外装を整えることが、希望に変えていく決め手になると信じています。

あとは、吹田日和の読者さんのお手元にもぜひ届いて欲しいので、マルシェのお誘いもお待ちしていますし、そちらの出店の準備などもこのプロジェクト以降に頑張りたいです!

――目標達成に向けて、吹田日和の読者へメッセージをお願いします!

岩井さん:

「仕方ない」と下を向くママを一人でも多く笑顔にしたい。その背中を見る子どもたちに「大人になるって楽しそうだ」と感じてほしい。そんな想いで立ち上げたプロジェクトです。

施設に通っていただいている子どもたちだけでなく、普段から子どもたちのことを一生懸命に考えて苦労されているお母さんたちを助けてあげられる。そんな場所を作りたいですし、私自身がそういう人間でありたいと思っています。

2026年4月末頃までクラウドファンディングを実施していますので、ご支援や拡散のほど、よろしくお願いいたします!この挑戦の仲間になってください!

5. 編集後記

「私たちは戦力外じゃない」。岩井さんの涼やかで力強い笑顔の裏には、ご自身の経験と、日々接しているママたちや子どもたちへの深い愛情がありました。

インタビュアーである私自身。岩井さんが取り組んでいるようなソーシャルな活動にはとても興味があるので、今ある世の中の仕組みでは絶妙に支援することができない層に対してアイデアとパッションで取り組まれている姿勢にはとても感動いたしました。個人的にプロジェクトにも微弱ながら支援させていただきました。

誰かを救いたいという想いが「カヌレ」という形になり、スタッフとの絆(バトン)を経て、今まさに吹田の街で花開こうとしています。

30分からプロの職人になれる。そんなママたちの希望の居場所「カヌレ BATON」のオープンが今から待ち遠しいです。ぜひ皆さんも、クラウドファンディングを通じてこの素敵なバトンを受け取ってみませんか?

(取材・文/吹田日和 編集部 金子和樹 写真:渡辺太一)

6. インフォメーション・プロフィール

【岩井絵里子(いわい えりこ)】

吹田産まれ・吹田育ち。株式会社Bell代表。自閉症スペクトラムのお子さんを持つ母親であり、元看護師。児童発達支援・放課後等デイサービス「たんぽぽのわたげ」の代表を務めながら、ハンデを持つ子どものママの社会復帰支援の施策としてカヌレ専門店「カヌレ BATON」のオープンに挑戦中。

【カヌレ BATON クラウドファンディング情報】

  • プロジェクト名:【大阪吹田】ママの「社会参加の壁」を壊し、親子が輝けるカヌレのお店を創りたい!
  • 実施期間: 2026年4月末頃まで
  • 支援ページ: https://for-good.net/project/1003285

【たんぽぽのわたげ】

  • 住所 吹田市江坂町4丁目9−1(カヌレ屋さん予定地)

:吹田市片山町1-31-20(たんぽぽのわたげ片山教室)

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