ラーメンの仕込みに1日17時間!極麺 青二犀の1日に密着
メニューは18種類。チャーシューは12時間仕込み、メンマは1〜2週間かけて戻し、麺は店内で手打ち。目覚ましは朝4時。それでも「好きなことやってるから幸せ」と笑う森山さんに、一日密着した。
チャーシューは12時間仕込み、メンマは2週間かけて戻す
朝イチの仕込みはスープから。そして12時間かけて炊くチャーシューへ。食材の中で一番早く届く鳥屋さんだけが店の鍵を預かっていて、森山さんが来る前にすでに搬入が始まっている。チャーシューは豚・鶏・スペアリブと複数の種類があり、それぞれ工程も温度管理も違う。「低い温度だとまた全然違うんですよ、食感が」。一口に「チャーシューを仕込む」と言っても、その中に積み重なった試行錯誤がある。
メンマは乾燥タイプを使う。届いた時は薄いおしゃぶり昆布のような状態で、2日間水に浸してパンパンに膨らませてから、さらに1〜2週間水を替えながら戻し続ける。正月の1週間休みには自宅に持ち帰り、ベッドのそばで管理するほどだ。「夏場は1日2回水を替えるんで」。戻りすぎるとほぐれて食感が落ちる。温度と時間の管理が、あのコリコリ食感を生んでいる。
「仕込みができることがありがたいんですよ。需要があるからこそ、仕込みができる」
「極麺生麺所」——麺打ちは奥さんの仕事
店名には「極麺生麺所」の文字がある。店内で生麺を打っているのは奥さんで、森山さんが出会ったのもラーメン店でのこと。「できちゃった結婚ですね」と笑いながら話してくれた。大学を卒業してすぐ子どもが生まれ、就職活動もしていなかった時期に、当時のラーメン店に拾ってもらったのが業界のスタートだった。「自分でお店をやるとは思ってなかったですね」。
麺の配合は、麺の専門家から教わったレシピをベースにしている。デュラムセモリナ粉を使うことで、生地が少し黄色みを帯びる。麺を圧延するロールのスピードにもこだわりがある。「早く回したら麺に負担がかかる。ゆっくりの方が圧が均一にかかる気がして」。そして出てきたのが、「小麦粉の気持ちを考えてるんですよ、いつも」という言葉だった。麺が釜に入れられる瞬間のことまで想像しながら、茹でている。
YouTubeと、食べ歩きと、「これラーメンでもいけるんちゃう」
メニューの数は現在18種類。ラーメン・つけ麺・混ぜそばに加え、焼き飯だけでも4種類ある。アイデアの源はYouTubeと食べ歩きだ。「和食でもイタリアンでもフレンチでも、どうやって作ってんのかなって見てて、これラーメンでもいけるんちゃうってなったら試します」。簡単・時短系の動画は飛ばして、手間をかけるほどおいしくなるものの方が面白い、と言い切る。
値上げのタイミングで麺の量を130gから140gに増やしたのは奥さんの提案で、具材も増やした。「優しすぎますね」と言うと、「社長がそう言うんで」と笑った。素材は余すところなく使う。チャーシューを炊く時の煮汁には野菜くずも全部入れ、鶏油を取った後の油は香味油やチャーハン用の油、煮干しオイルにも活用する。
「ラーメンは答えがないというか。新しいアイデアがどんどん出てくるのが面白いんですよ」
週休2日、昼だけ。それが今の形
オープン当初は夜10時まで営業していた。忙しくなるにつれて体が追いつかなくなり、家庭にも影響が出始めた。「嫁に当たり散らしてた時期があって。余裕がなかったんですよね」。夜営業をやめ、休みを1日増やして、今は週休2日・昼のみの営業スタイルに落ち着いた。利益は薄くなったが、「心と体にゆとりができた。それが一番」と言う。
ただ、ラーメンにかける時間は以前より増えている。仕込みの種類も工程も、夜営業の頃より手が込んでいる。「もう自分を苦しめてるんですよ、仕込みの量が増えていって」と笑う。目覚ましは4時。暗いうちに来て、暗くなるまで仕込んで、それから走りに行く。「長く続けられるようにしていきたい。100歳までやってるかもしれないですけど」。
屋号「青二犀」の由来は「青二才」、つまり未熟者のこと。「初心を忘れたら終わりですから」。その言葉が、18種類のメニューと1〜2週間かけるメンマと、朝4時の目覚ましを、今日もつなぎとめている。
極麺 青二犀
〒564-0022 大阪府吹田市末広町21-53
取材・文/吹田日和編集部





