究極のタレを求めて、毎日味を変え続ける ホルモン ボンクラの1日に密着
開業20年目を迎えた吹田の人気ホルモン店。気取らない大阪の下町文化を体現するその店には、毎日進化し続けるこだわりと、温かな人のつながりがあった。
「ボンクラ」という名前に込めた哲学
吹田市内にあるホルモン専門店「ボンクラ」は、今年で開業20年目を迎える。店名の由来を尋ねると、店主はこう笑う。
「最初にそういう名前をつけとったら、何でもありかなと思って。お客さんからクレームが出ても、『うちボンクラなんで』って言うたらしまいやから。しょうがないでしょ、みたいな(笑)。逃げ道ができてね」
その精神的な原点は、漫画『じゃりン子チエ』にあるという。のれんのデザインもチエの看板からインスピレーションを得たもので、かしこまらない、庶民的な大阪の雰囲気をそのまま体現したお店を作りたかったと語る。
「開業した頃、この辺にそういう店がなかったから、みんな『ホルモンって何ですか?』みたいな感じで。それをちょっと広めたいなと思ってね」
生ホルモンへのこだわり
仕込みの現場を見せてもらうと、その丁寧な仕事ぶりがよくわかる。ボンクラでは、肉屋との長年の付き合いによって確保した生ホルモンを使用している。
「新しくないと脂の甘みも残ってないし、一回冷凍したやつとか甘みが抜けたりしてるんで。豆に買いに行かないと、肉屋さんもええのを置いといてくれへん。付き合いが大事なんですよ」
赤センマイ、シマチョウ、タングレーン、内ツラミ——部位ごとに仕込み方も異なる。筋切りを入れて食べやすくしたり、弾力のある肉にはさらに工夫を施したり。「これだけで全然違います。ちょっとしたひと手間でね」と、さらりと言ってのける。
珍しい部位を多く扱うのもボンクラの特徴だ。「焼肉屋さんに行ってホルモンが苦手になった人もいるけど、実はまだ知らない部位がいっぱいある。食感も味も全部違うから、面白いんですよ、ホルモンって」
タレは「永遠のテーマ」
もうひとつの核心が、タレへのこだわりだ。肉にはまず「もみだれ」を揉み込み、炭火で焼いた後にさらに「つけだれ」をつけて食べる——二重構造のタレが、ボンクラの味を作り上げている。
驚くべきことに、そのタレはほぼ毎回少しずつ変えているという。
「前より美味しくなればなと思って。これが完璧の味、ってないんですよ。サグラダ・ファミリアみたいな感じで、何百年かかるんやって(笑)。完成してしまうともうそれで終わりやから、自分の楽しみでもあるし、お客さんにも前よりちょっとでも美味しい思ってもらったら最高なんで」
独学でここまで来た。最初はよその店の味を参考にしていたこともあったが、今は気にしていないという。「自分で完成させた方がオリジナルのものができる。知らんけど(笑)」
温かな常連たちと、ミラクルな夜
取材日の営業中、印象的な場面があった。その日初めて来店した客2人が、店主のキャラクターに惚れ込み、その場でアルバイトを志願——あっさり採用が決まったのだ。
「こんないいことが起きてることが記録として残ってる。奇跡の動画ですね」と取材スタッフも驚くほどの展開だった。
19年通い続ける常連客は言う。「他の店で同じ部位を食べても、ここの味とは全然違う。だから何回も来たくなるんですよ」。また別の常連は、「仕事終わりに温かさが欲しい時に来て、引き上げてもらって、また頑張ろうって思う」と話してくれた。
炭火に変えてからはさらに美味しくなり、子連れや犬連れも歓迎するアットホームな空間は、まさに地域の居場所だ。
これからも、楽しいが一番
最後に、今後の展望を聞いた。
「いやもう、このままなんかおもろけりゃええかなっていうぐらいで。またええ話やったらコラボしたりね。楽しかったらいい。楽しいが一番です」
究極のタレを追い求めながら、人とのつながりを何より大切にする——ボンクラはこれからも、吹田の街に根ざし続ける。
店舗情報
2号店
ボンクラ本店の目の前に誕生した2号店は、カウンター中心のスタイルで、仕事帰りに1人でもふらっと寄りやすい雰囲気です。
そして、ここでしか味わえない「2号店限定メニュー」が、もう最高でした!!
特に2日間かけて仕込まれる「自家製ホルモンジャーキー」は、ジャーキーの概念を根底から覆す衝撃の旨さ。これだけで何杯でも飲めちゃいます。
同じく2日仕込みの「名物肉どうふ」は、タレがしみっしみ。低温調理で仕上げた「ハートのたたき」は、あまりの鮮度と美味しさにおかわり!濃厚なもつ煮込みもマストです。
一品一品にこだわりを感じます。 もちろん定番の焼きや鍋メニューもあるのでご安心を。
取材・文:吹田日和編集部





