スイタビト

【スイタビト vol.005】「自然な表情を、吹田の日常に」。元看護師のフォトグラファー・渡辺さんが写真に込める温かなまなざし

kazuki

吹田・北摂エリアを中心に、家族写真や人物撮影を手がけるフォトグラファーの渡辺太一さん

実は吹田日和の各種イベントやWEB掲載記事用の写真をいつも撮影してくださっており、私たち吹田日和の仲間でもあります。

もともとは看護師として、高槻や江坂、吹田エリアの病院で働いていた渡辺さんですが、現在はプロカメラマンとして独立し、2026年6月。吹田に自身のフォトスタジオ「Heima photo studio」をオープン。

渡辺さんの写真を見た人からよく届く言葉は、「自然な表情」「温かい写真」。

看護師からカメラマンへ。
まったく違う職業のようでいて、どちらにも共通していたのは「人と向き合うこと」でした。

今回は、渡辺さんが写真の道へ進んだきっかけ、吹田で活動する理由、そして地域の人たちを写真で残していきたいという想いについてお話を伺いました。

1. 看護師として働く中で感じていた、やりがいと違和感

取材中、これまでの歩みを振り返る渡辺さん

——本日はよろしくお願いします!まずは、渡辺さんのご出身や、これまでのお仕事について教えてください。

渡辺さん:

よろしくお願いします。

僕は1988年生まれで、摂津市で生まれ育ちました。吹田の万博公園付近にある山田高校に通っていたこともあって、学生の頃から吹田はかなり身近な場所でした。

サッカーも学生時代からずっと好きで、ガンバ大阪は今でも生活の一部のような存在。親子二代で応援しています。北摂や吹田界隈は昔からずっと生活圏でしたね。

——カメラマンにはここ4年でなられたそうですね!それまではどんなお仕事をされていたんですか?

仕事としては、最初は看護師をしていました。高槻の病院で3年、その後は江坂の病院で10年ほど働いていました。

——看護師の道を選ばれた理由は、もともと医療に興味があったからだったのでしょうか?

渡辺さん:

正直に言うと、最初から「絶対に看護師になりたい」と思っていたわけではありませんでした。

家族の経済的な事情もあって、資格を取って働ける道を考えたときに、看護師という選択肢がありました。姉も看護師をしていたので、身近な職業だったことも大きかったです。

もちろん、仕事にやりがいはありました。患者さんと関わる中で、自分が役に立てている実感もありましたし、向いていない仕事だったとは思っていません。

ただ、どこかで「面白い」と思いきれない自分もいました。

——やりがいはあるけれど、仕事としての楽しさとは少し違ったんですね。

渡辺さん:

そうですね。

病院では、どうしても患者さんのしんどい部分や、ネガティブな場面に関わることが多いんです。もちろん、それが看護師の大切な仕事なのですが、自分の中では、そこにずっと向き合い続けることに難しさも感じていました。

その中で唯一好きだったのは、患者さんと冗談を言い合ったり、少しでも場を明るくできたりする瞬間でした。

「ちょっとでも笑ってもらえたらいいな」と思いながら関わる時間は、自分にとってすごく大事だったと思います。

2. 「写真を見ると、心が軽くなる」カメラマンへの転機

渡辺さんが大切にしている、自然な表情を残す撮影スタイル

——そこからカメラマンに転身されたきっかけは何だったのでしょうか?

渡辺さん:

実はもともと、カメラマンになろうと思っていたわけではまったくありませんでした。

きっかけは、本当に偶然でした。仕事でたまたま出会ったカメラマンの方から、「やってみませんか?」と声をかけてもらったんです。

最初は驚きましたが、その頃の自分には、写真に対して少しずつ特別な感覚が芽生えていました。

仕事でつらいことがあったときに、子どもの写真や、知り合いの結婚式の写真を見返すことがあって。すると、心がふっと軽くなったり、気持ちが落ち着いたりする瞬間があったんです。

そのときに、「写真って、ただ記録するだけじゃないんだな」と感じました。

見るだけで気持ちが前向きになったり、そのときの空気を思い出せたりする。写真には、人の心を支える力があるんだと気づいたんです。

だから、カメラマンの方に声をかけてもらったときに、「自分も誰かにとって、そんな写真を残せる人になれるかもしれない」と思ったんです。それが、一歩踏み出してみようと思った理由です。

最初はカメラのこともほとんどわからない状態でしたが、そこから3ヶ月ほど基礎を学びました。そこからは実践を通じてほぼ独学で自分のスタイルを確立していきました。

——ではほぼ独学でここまで来られたんですね!写真もご自身の経験から特別なものだと感じられていたんですね。

渡辺さん:

そうですね。

特に家族や子どもの写真って、日常の中では何気ない一枚かもしれないですけど、後から見返すと、「あのとき、こんな表情をしていたな」とか、「この時期はこんな感じだったな」と思い出せるんです。

たとえば子どもが泣いている写真でも、その瞬間は大変だったかもしれませんが、後から見ると笑えたり、愛おしく感じたりすることがあります。

そういう、心がプラスに動く瞬間を残せるのが写真の魅力だと思いました。

3. 技術よりも大切にしている、人との距離感

自然な会話の中で、被写体の“その人らしさ”を引き出す

——未経験、しかもほぼ独学からのスタートだと、技術面で大変なことも多かったのではないでしょうか?

渡辺さん:

もちろん、技術は必要です。

でも実際に仕事として撮影をしていく中で感じたのは、カメラの技術以上に、人との関わり方が大切だということでした。

撮影される側は、緊張していることが多いんです。特に家族写真やプロフィール写真だと、「どう写ればいいかわからない」という方も多いです。

そこでいきなり「笑ってください」と言っても、自然な表情にはなりにくいんですよね。

——たしかに、言われるほど表情が固まってしまうことがあります。

渡辺さん:

そうなんです。

だから僕は、できるだけ自然に会話をするようにしています。撮っていることを意識させすぎないようにしながら、その人がふっと力を抜いた瞬間を撮る。

お客さんから「自然な表情ですね」「温かい写真ですね」と言ってもらうことが多いのですが、それは自分が意識している部分でもあります。

——看護師時代の経験も、今の撮影に活きていると感じますか?

渡辺さん:

かなり活きていると思います。

看護師の仕事では、子どもから高齢の方まで、本当にいろいろな方と関わります。相手の状態を見ながら、どう声をかけるか、どれくらい距離を取るかを考える必要がありました。

その経験は、今の撮影にもつながっています。

無理に踏み込みすぎないこと。
でも、安心してもらえる距離にはいること。

その感覚は、看護師時代に身についたものかもしれません。

——写真の技術だけではなく、安心して撮られる空気づくりが大切なんですね。

渡辺さん:

そう思いますね。撮影って、撮る側と撮られる側の関係性がそのまま写真に出ると思っています。

だから、押しつけるような撮影ではなく、「撮りますか?」くらいの自然な距離感を大切にしたいんです。

営業はもちろん必要ですが、無理に売り込むのではなく、必要としてくれる人に自然に届くような関わり方が自分には合っていると思います。

4. 吹田でスタジオを。地域のつながりが背中を押してくれた

渡辺さんが吹田で開設した「Heima photo studio」

——独立後は、北摂や吹田のお客様が多いそうですね。

渡辺さん:

そうなんです。

独立してから、北摂のお客様が多くなりました。中でも吹田の方がすごく多いです。

リピーターの方も増えてきて、「またお願いします」と言っていただけることが増えました。そういう流れもあって、吹田でスタジオを作ろうと決めました。

幼少期から過ごし慣れていた街でもありましたが、最近はそれこそ吹田日和さんとご一緒する活動も増えてきまして。その結果人の輪も広がり、より地元に根ざして活動していきたいという気持ちが強くなりました。

——吹田のお客様が多いというのは、渡辺さんにとっても自然な流れだったのでしょうか?

渡辺さん:

そうですね。吹田は自分にとって幼少期からの生活圏でもありますし、共通の話題が多いんです。

「この公園いいですよね」とか、「あのお店行ったことあります」とか、そういう何気ない会話が撮影の空気をやわらかくしてくれます。

撮影前から少し距離が近くなるというか、安心してもらいやすい感じはありますね。

——スタジオづくりでも、地域のつながりが大きかったと伺いました。

渡辺さん:

本当にそうです。

最初から「スタジオを建てよう」と強く決めていたわけではありませんでした。でも、SNSでつながった人たちや、吹田日和をきっかけにつながった、地域の事業者の方たちとの関係の中で、少しずつスタジオを作る構想に現実味が出てきました。

「それならこういう人がいるよ」と紹介してもらったり、困ったときに相談できたり。

個人事業主って、ひとりでやっているようで、実は人とのつながりがすごく大事なんだと感じています。

スイタビトのつながり!

Heima photo studioの看板にあるロゴは、スイタビトvol.001の太田めぐりさんにご依頼されたそうです。なんとお二人は山田高校時代の同級生!

▼大田めぐりさんのスイタビト記事はこちら!

【スイタビトvol.001】カリグラファーとして活動しながら、印刷コンサルタントの顔を持つ、大田めぐりさん。
【スイタビトvol.001】カリグラファーとして活動しながら、印刷コンサルタントの顔を持つ、大田めぐりさん。

——仕事につながるだけではなく、心理的な安心感もありますよね。

渡辺さん:

あります。

何かをお願いする、何かを紹介してもらうというだけではなくて、普段からゆるくつながっていること自体が、すごく心強いです。

「この人たちなら相談できる」と思える関係があるだけで、挑戦しやすくなります。

それが結果的に仕事につながることもありますが、まずは無理のない関係性があることが大切だと思っています。

吹田日和も応援中!

吹田日和のイベントにはいつも顔を出して写真を撮ってくださる渡辺さん。

渡辺さんは、吹田日和のイベントにも関わりながら、参加者や出店者、地域の人たちが楽しんでいる様子を写真で残していきたいと話してくれました。

イベントの魅力は、情報だけでは伝わりきらないもの。
人の表情や、現場の空気感、ふとした笑顔が写真として残ることで、「次は行ってみたい」と思えるきっかけになります。

渡辺さんはこれからも、吹田日和と一緒に吹田の人々やまちの温度感を写真を通して伝えていきたいとのことでした。いつもありがとうございます!

万博記念公園「ひまわりフェスタ」でも撮影を担当

このひまわりの写真も渡辺さんが撮影!

https://www.expo70-park.jp/event/76507

渡辺さんは、万博記念公園で開催される「ひまわりフェスタ」でも、プロフォトグラファーとして撮影会を担当されています。(※2026年7月)

夏のひまわり畑を背景に、ご家族やカップル、ご友人同士の大切な時間を写真に残す、事前予約制の撮影会です。

自然な会話の中で、その人らしい表情を引き出す渡辺さんの撮影スタイルは、明るいひまわりの景色ともぴったり。

吹田を代表する場所で、季節の思い出を写真に残せる素敵な機会ですので、ぜひこの機会にお申し込みください!

合わせて読みたい
ひまわりフェスタ - 万博記念公園
ひまわりフェスタ – 万博記念公園

6. 編集後記

この写真は渡辺さんの奥さんが撮影

看護師からフォトグラファーへ。

一見すると大きな転身のように見えますが、渡辺さんのお話を聞いていると、その中心にはずっと「人と向き合うこと」がありました。

患者さんのしんどい場面に寄り添いながら、少しでも明るい空気をつくろうとしていた看護師時代。
そして今、撮影される人が安心して自然な表情を見せられるように、会話の中で距離を整えていくカメラマンとしての姿。

職業は変わっても、渡辺さんが大切にしているものは変わっていないのだと感じました。

「写真を見ると心が軽くなる」
「後から見返したときに、気持ちがプラスに動く」

そんな言葉からは、渡辺さんにとって写真が単なる記録ではなく、人の日常を支える小さな力であることが伝わってきます。

吹田でスタジオを開き、地域の人たちを撮り、イベントの空気を残し、商店街や公園の魅力を写真で伝えていく。

渡辺さんの写真は、これからの吹田の“日常の記憶”を、温かく残していってくれるはずです。

(取材・文:吹田日和 副編集長 金子和樹

7. インフォメーション・プロフィール

Screenshot

【渡辺太一さん】

元看護師のフォトグラファー。1988年生まれ。摂津で生まれ育ち、学生時代から吹田・北摂エリアを生活圏として過ごす。看護師として高槻・江坂・吹田エリアの病院に勤務した後、家族写真や結婚式の前撮りをきっかけに写真の力を実感し、未経験からカメラマンへ転身。

現在は北摂・吹田エリアを中心に、家族写真、人物写真、イベント撮影などを行う。自然な表情と温かみのある写真を得意とし、吹田でのスタジオ開設にも取り組んでいる。

【活動情報】

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