未経験から建築業界の奥深さに魅了された 株式会社岡本銘木店 営業職の1日に密着
文系出身、建築は未経験。それでも入社7年目を迎えた今、職人さんからも工務店からも頼りにされる営業マンがいる。岡本名木店南店の小方幸さん。「声がでかくてうるさい」と笑われながらも、その人柄と仕事の速さで現場の信頼を積み上げてきた。
紹介で入って、「一番家から近かった」が決め手
岡本名木店に入社したのは、当時の知人からの紹介がきっかけだった。「一応色々見てたんですけど、一番最初にここで拾っていただけたので、そのままここで決めさせてもらいました」。最終的な決め手を尋ねると、「一番家から近かったってのが、まあ一番大きなところです」と笑いながら答えてくれた。
建築とは無縁の文系大学出身。入社後はまず2〜3ヶ月の現場研修からはじまった。自分で材料を切って貼り付け、実際に家を建てる手伝いをするという、営業職としては異色の研修だ。「なかなかできない研修をさせてもらいました」と振り返る。その後も先輩やメーカー担当者に同行しながら、少しずつ知識と担当顧客を増やしていった。
プレカットの提案から、現場の急な追加発注まで
岡本名木店の主力事業は「プレカット」と呼ばれる木材加工だ。かつては大工さんが手作業で刻んでいた柱や梁を、工場で機械加工して現場に届ける仕組みで、1〜2週間かかっていた作業が2〜3日で完了するようになった。自社工場2拠点に特殊加工機を備え、他のプレカット業者では対応できないような複雑な加工も引き受けられるのが強みだという。
小方さんの営業の仕事は幅広い。工務店との仕様打ち合わせ、図面への指示出し、材料の拾い出しと手配、フロアや建具・水回り設備の提案、さらにはリフォームの現場に同行して寸法を測ることまである。「公務店さんのお手伝いもさせてもらってますね」という言葉が、その守備範囲の広さをよく表していた。
「リフォームは解体してみないと全部は読めない。だからスピードが大事なんです」
リフォーム現場では、解体後に想定外の追加材料が必要になることも多い。「すぐに材料が欲しいってなってくる」。そのたびに動きの速さと融通が試される。訪問先の工務店担当者からも「最短で動いてくれるのが一番」「急に言って急に入れてもらえる、普通の業者では無理やから」という言葉が自然と出てきた。
「何言うても怒らへん」と言われる理由
長年付き合いのある工務店の担当者に「なぜ岡本名木店を選び続けているか」を聞くと、即座に「人柄ですね」という答えが返ってきた。「値段が正直で言いやすい。何言うても怒らへん」。小方さん自身の印象については「まっすぐ。声がでかい。来たらうるさい。でもそこがいいところ」と笑いながら話してくれた。
同僚からの評価も似ている。「怒らない」「常に感情が一定」「ガツガツしてるけど荒い感じじゃない」。本人はそれを意識してやっているわけでもないようだが、「自分が尊敬してる人がすごい声が大きくて明るい人で、その人の真似をしようと思って」と話す。お客さんに選ばれ続けている先輩の姿が、今の営業スタイルの原点にある。
続けられた理由は、人間関係。変えてほしいのは、休日
7年間続けてこられた理由を聞くと、「人間関係が仕事しやすいっていうのが一番」と答えた。上の幹部が日報を読んで声をかけてくれること、子どもが生まれた時期の近い先輩と話せること、そういった小さなことが積み重なっている。
一方で、正直に変えてほしかったこととして休日の少なさも挙げた。「若い子がやめないようにするには、休日の日数がすごい大事」という感覚は、自分が経験してきたからこそのものだ。休日は増えてきており、働きやすい環境になってきているとも語った。
「『分かった』っていうのが絶対ない業界。それが、知れる楽しみでもあるんです」
住宅業界はSNSを通じて施主の要望が多様化し、海外トレンドが次々と入ってくる。「正解ではないと思うんですけど、そのお客さんに合わせて何が求められてるかっていうのを考えていく」。終わりのない勉強を、小方さんはむしろ楽しんでいるようだった。
取材・文/吹田日和編集部





